轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
中里介山『大菩薩峠7』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 242,044 字 · 477 页
いうまでもなく、この男は、生と死との間をさかいする蓋に手をかけて、これを取り除こうとあせり出したものと見える。
で、その次の世界から聞える声を、この世で聞こうとあこがれているにちがいない。
こういう挙動を笑うものは、まだほんとうに死というものの哀切を、味おうた経験のないものであります。
かりに諸君のうち、その最愛の子女の一人を、失ったものがあるとしてごらんなさい。現在自分がその最後の病床から、野辺のおくりまで見届けても、なお途中で、それによく似た年ごろ恰好の子女にであってごらんなさい、われ知らず前へまわって、その面立ちを見定めなければ立去れないことがある。死というものが万事の消滅だと事実が証明しても、空想がそうは信じさせようとしません――しかも、人生のことは空想が大部分で、人は事実に生きるよりは、むしろ空想に生きているのであります。
聖人は空想と事実とをよく統一する。狂人はそれを混同する。凡人は、その間に彷徨して醒めたるが如く、酔えるが如し。
さてここに、宇治山田の米友に至っては、空想と事実との境界が、ほとんど判然しない。この男は人間のこしらえた差別線と高低線に対しては、先天的に色盲のような男で、どうかしてその線にひっかかると、眼の色を変えて怒り出す。