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たいへいようらいげきせんたい

太平洋雷撃戦隊

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,885 字 · 24 页

青空文庫

「その辺に××××の潜水艦はいないか」

「飛行機が下りて来たぞ、ガソリンがなくなったらしい」

そんなざわめきが、×の汽船の上に起りました。さっきまで笑顔でいた船員たちは、それもこれもいい合わせたように、唇の色をなくしていました。

「船長。どうも変です」

一人の通信手が、あたふたと船橋に上ってきました。

「どうしたのだ」

あから顔の太った船長が、思わず心臓をドキリとさせて、通信手の顔を見つめました。

「日本の潜水艦がいないのです。さっきから、水中を伝わって来ていた敵艦のスクリューの音が、パタリとしなくなりました」

「なに、推進機の音がしなくなった? それはいつのことだ」

「もう十分ほど前です」

「なぜもっと早く知らせないんだ」

「敵艦は、もう逃げてしまったのでしょう」

「ばか! な、な、なんてことだ……」

船長の顔は、ひきつけたときのように歪みました。

丁度そのときでした。

百雷が崩れ落ちたような大爆発が、この大汽船の横腹をぶッ裂きました。船底から脱け出した第八潜水艦の魚雷が命中したのです。

ガラガラガラ――

積荷もボートも船員も一緒に空中へ舞いあがりました。つづいて巻上る黒煙――船は火災を起して早くも沈みかけています。