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たいへいようらいげきせんたい
太平洋雷撃戦隊
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,885 字 · 24 页
「こりゃ、弱ったな」
さすがの大汽船も、爆弾を懐中にしまっているようで、気味の悪さったらありません。爆雷を水中へ投げてもよいのですが、下手をやると、爆発した拍子に、日本の潜水艦の胴中に穴をあけるばかりか、自分の船底にも大孔をあけてしまわないとはいえないのです。そんな危険なことがどうして出来ましょう。
「こいつは困った」
攻撃の姿勢をとって、空中高く舞い上った×の飛行機も、同じような嘆声をあげました。折角爆弾をおとしてやろうと思ったことも今は無意味です。敵軍の指揮者たちは、無念の泪をポロポロとおとして、口惜しがりました。
そこへもってきて、折悪しく暮方になりました。いままで明るかった海面が、ずんずん暗くなってゆきます。西の空には、鼠色の厚い雲が、鉄筋コンクリートの壁のようにたてこめているので、大変早く夕闇が翼を伸ばしはじめました。夕日のなごりが空の一部を染め、波頭を赤々と照らしたと見る間もなく、忽ち光は褪せて、黒々とした闇が海と空とを包んでゆきました。
にわかに訪れる夜!
それこそ気の毒にも、睨み合った相手の位置を、ひっくりかえすのでした。
「救いの駆逐艦を呼べ!」