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たいへいようまじょう
太平洋魔城
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页
これはゆだんがならない」
委員長ケレンコの眉がぴくりとうごいた。
司令室内の彼の部下は、いいあわせたようにケレンコをみつめている。
その時、入口から、影のように一人の水兵がはいりこんできたのを誰も気がつかなかった。
洋上の一大惨劇
ケレンコは、スクリーンのうえにうつる二隻の艦影をじっとにらみつけていたが、なにごとか決心がついたものとみえ、副司令ガルスキーの方へ顔を向け、
「おい、ガルスキー。怪力線砲の射撃用意!」
「え、怪力線砲の射撃? あれを二隻ともやってしまうのですか」
副司令は、顔色をかえて、ききかえした。
「なにをいっている。君は、わしの命令どおりにやればよいのだ」
「ですが、委員長。アメリカの駆逐艦はともかく、後のは、わが同盟国のイギリスの商船ですよ。それを撃沈する法はないと思います」
副司令は、いつに似合わず、はっきりといった。
「だまれ!」ケレンコは怒った。
「軍艦であろうと同盟国の船であろうと、わが海底要塞をうかがおうとするものに対しては、容赦はないのだ。つまらぬ同情をして、せっかくこれまで莫大な費用と苦心をはらってつくったこの海底要塞のことがばれようものなら、日本攻略という我々の重大使命はどうなるのだ。