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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

地上地下、生物は、猫の子一匹ものこるまい。考えただけでも胸がおどるじゃないか。いや、君を前において恐竜型潜水艦の自慢をするのは、あべこべじゃったねえ。ふふふふ」

なんというおそろしいケレンコの自信であろうか。

そのとき運転士が、声をかけた。

「もしもし、海底要塞の正面へ来ました。どこへつけますか」

「うむ、恐竜格納庫第六十号へつけろ」

ケレンコはいった。太刀川時夫の目が、潜水兜の中で、きらりと光った。

格納庫ひらく

恐竜型潜水艦の格納庫!

いま太刀川時夫は、司令官ケレンコとともに、その前に立ったのである。

だいたんな太刀川も、はげしい興奮に、胸が高なっている。

見よ!

彼の目のまえに、あぶくだつ青黒い海水をとおして、とほうもなく大きな怪物が、歯をむきだして、こちらをにらんでいる。それが、じつは格納庫の扉であった。

(この扉のむこうに、共産党海軍の大じまんの対日攻撃武器がしまってあるのだ!)

ケレンコ司令官は、そのとき腰にさげていた水中笛を、例の例の妙な機械の手でおした。水中笛はぶうぶうと大きな音をたてた。

すると、格納庫のうえから、やはり潜水服に身をかためた潜水兵が四、五十人、まるで廂からおちる雨だれのように降ってきた。