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たいへいようまじょう
太平洋魔城
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页
「おお、神の力は、広大無辺である」
「あれ、いやだねえ。とうとうわしは卵を生むようになったか」
衛兵長は、掌にのせられた卵を、気味わるそうにながめつつ、大まじめでいった。
そばに立っていた将校や兵士が、くすくすと笑った。
クイクイの神様になりすました三浦須美吉は、してやったりと、心の中でにやりと笑った。こんなことはなんでもない。ほんのちょっとした手品にすぎない。卵は、島で仕入れ、服の下にかくしておいたものである。
「こら、さわぐな」
ケレンコ司令官が、にがにがしそうにどなった。
「子供だましの魔術をつかうあやしい男だ。だが明日の行動について、これから幕僚会議をひらくから、この男のとりしらべは後まわしだ。向こうへつれていって監禁しておけ」
司令官室の激論
室の外へつれだされて、クイクイの神様こと三浦須美吉は、(ほい、しめた)
と、思った。
もうこの司令官室に用はないのだ。彼の掌の中には、衛兵長のポケットから、すりとった一個の鍵がかくされていたのである。卵を出すとみせて、手さきあざやかに、この鍵をすりとったのだ。
この時、床のうえに寝そべっていたリーロフ大佐が、むくむくとおき上った。