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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

ほんとうの戦闘をする気のない司令官なんか、こっちでまっぴらだ」

「リーロフ大佐、何をいう。近代戦で勝利をおさめるのに、どれほどの用意がいるかを知らないお前でもないだろう。ことに相手は、世界に威力をほこる日本海軍だ。われわれはどうしても今日までの準備が必要だったのだ」

「ふふん、どうだか、あやしいものだね。君がやらなきゃ、おれは今夜にも、恐竜型潜水艦で、東京湾へ突進する決心だ。なあに、日本艦隊がいかに強くとも、東京湾の防備が、いかにかたくとも、あの怪力線砲をぶっとばせば、陸奥も長門もないからねえ。いわんや敵の空軍など、まあ、蠅をたたきおとすようなものだ」

リーロフ大佐は、いよいよ鬼神のような好戦的な目をひからせる。

「おい、リーロフ。それほど何もかもわかっている君が、なぜ目先のみえない乱暴なふるまいをするのか」

「おれは、日本艦隊を撃滅するのをたのしみに、はるばるこんな海底までやってきたんだ。勝目は、はじめからわかっているのに、いつまでもぐずぐずしている司令官の気持がわからない。明日攻撃命令を出すというが、ほんとうか、どうか、いつもがいつもだから、あてになるものか」