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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

「あ、あれが出口だ」

太刀川らは、やっとのことで、出口にたどりついた。

「番をしている兵がいる」

「よし、やっつけるばかりだ」

そこの衛兵も、例の酒が体にまわっているとみえて、

「あああ、あやしい奴!」

と、いうさけびもしどろもどろだ。太刀川の鉄拳に、脾腹をやられ、ぎゃっとたおれるところを、三人はすばやく通りぬけて、潜水服置場に走った。ここには、あきれたことに、誰もいない。今夜は、衛兵たちはみな、さっき倒した番兵一人に、一切の見張をまかせて、ふるまい酒に酔いくらっているらしい。三人はこれさいわいと、潜水服を壁からおろして、すっぼりかぶってとめ金をした。

「あ、もうあと五分だ。いそがないと、われわれの命があぶない」

と、ダン艇長がさけんだ。

「先生、わたくしは、うごけません」

石福海は、潜水服を着たのはいいが、体が小さいので、前へも後へもうごけなくなった。

「よし、だいてやるから、安心しろ」

太刀川とダン艇長とが、両方から石少年をかかえて、ついに防水扉を開いて外へ出た。

ああ太平洋魔城

外は、海水が、海底要塞の照明灯にてらしだされてうつくしくかがやいていた。