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たいへいようまじょう
太平洋魔城
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页
ええ、何ですって。写真、それは素敵です。では、すぐその写真を電送して下さい。こっちの用意をさせますから」
艇長は、まっ赤に興奮している。
「おい、写真電送で、二人の顔を送ってくる。すぐ受ける用意をしたまえ」
「はい」
通信士は、スイッチをひねって、写真電送のドラムを起動した。このドラムの中に、薬品をぬった紙が入っていて、向こうから送る電波によって、一枚の写真が焼きつけられるのだ。
「は、用意ができました」
「もしもし、本社ですか。用意ができました。写真をすぐに送ってください」
まもなくジイジイジイと、写真を焼きつけるための信号が入ってきた。もうあと十分たてば、写真は出来あがるのである。ケレンコの顔もリーロフの顔も、すっかり分かってしまうのだ。
なんというすばらしい文明の利器であろうか!
艇長はじめ通信係の一同は、ジイジイジイと廻るドラムの上を、またたきもせず、見つめている。やがてドラムの中に焼きあがる写真は、そもどんな顔をしているであろう。
一分、二分、三分――誰一人、声をだす者もない。
その時だった。
この無電室の入口の扉が、音もなくすーっと細目にあいた。