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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

カタキヲタノム」

この悲壮な遺書を、鉄丸の破片とともに空缶の中に入れ、海中に投げこんだ、そのあわれな遭難漁夫三浦スミ吉が、今ここでクイクイの神となりすまし、ミンミン島とロップ島の原地人の前に、とりすました顔で立っているのだ。

ちょっと信じられないふしぎな話である。

ところがその訳はこうなのだ。この三浦須美吉は、遺書を海中に投げこんでから、船は沈んだが、自分は海上にうかび、ちょうどそば近く流れていた船の扉にすがって漂いつづけ、運よくこのミンミン島に流れついたのである。

それにしても、どうして三浦がクイクイの神となりすまして、原地人たちからそんなにあがめられているのか。

三浦に言わせると、流れついた島の人の中にあって、自分の命を安全にしておくためには、神さまになるのが、一番かしこいやり方だとおもったからだそうだ。そして、それはきわめて訳のないことだったというのである。

どうして?

そのわけは、これからクイクイの神が始めることを、しばらく見ていれば、ひとりでにわかるだろう。

クイクイの神は、ちょっと気むずかしい顔をして、二人の酋長のまえにすすみ出た。彼はえへんと咳ばらいをしておもむろに腕をくみ、