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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

「つまり精神療法というやつさ」と三浦はとくいで、せい一ぱいしかつめらしくかまえていた。

売られゆく神さま

「われわれロップ族は、ぜひクイクイの神を買うことにする」

ロップ島の酋長ロロが、ミンミン島の酋長ミンチの肩をたたいていった。

酋長ミンチは、それをきくと、ぐっと胸をそらして、

「よし、いよいよ買うか。では、そのかわり、わしがほしいといったものを、こっちへよこすか」

「それは承知した。ちゃんと持ってきてある。これこのとおりだ」

酋長ロロがとりだしたのは、なんと一枚のやぶれたシャツだった。

「おう、それだ。わしがほしくてたまらない物は!」

酋長ミンチは、破れシャツをひったくった。

「おう、これこれ、すばらしい宝物だ」

ミンチは破れシャツをなでまわして、よだれをこぼさんばかりの喜びようだ。

「では、こっちは、クイクイの神をもらってゆくぞ」

「たしかに、とりかえた」

破れシャツ一枚とクイクイの神との取りかえっこだ。

クイクイの神は、これをきいてがっかりした。自分の体が、破れシャツ一枚にかえられるとは、なんというなさけないことだと思った。

ロップ島の原地人たちは、クイクイの神を手に入れて大喜びである。