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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

その言葉が終るか終らないうちに、ジーというベルの音がしたかと思うと、太刀川の立っていた鉄格子の一方のはしが、がたんと外れて下におちた。

「あっ」

といったが、おそかった。太刀川の体は中心をうしない、鉄格子の上をすーっとすべり、そしてその下にあいた口から、まっさかさまに落ちて行った。

自分の名を知る覆面の男

肩先を、ぽんと、けられたいたみに、太刀川は、はっと、我にかえってあたりを見まわすと、そこには、例の男が立っていた。

「ふっふふふ、だいぶ、おやすみのようだったね。あれぽっちのことで、目をまわすとは、案外、意気地のない奴だ」

あくまで、にくにくしげにいう。

そこは、何の飾もない物置小屋のようなところだった。

太刀川は、鉄格子から落ちると、途中で網で受けとめられたような気がしたが、そのまま気を失ってしまった。その間に、この部屋に運びこまれたものらしい。

あれから、どのくらいたったものか、とにかく相当時間がたっていることは、着ている服が、かわきかけていることでもわかる。

「おい、何をぼやぼやしている。早く立て、委員長閣下のお呼びだ」

「何、委員長?」

太刀川は、そうつぶやきながら、いたむ体をやっと起して、たちあがろうとした時、