轻松读懂日语经典作品
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めおとぜんざい
夫婦善哉
織田 作之助
「海風」1940(昭和15)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,643 字 · 61 页
その通りに心掛けていたのだが、どういうものか足が早くて水密桃など瞬く間に腐敗した。店へ飾っておけぬから、辛い気持で捨てた。毎日、捨てる分が多かった。といって品物を減らすと店が貧相になるので、そうも行かず、巧く捌けないと焦りが出た。儲も多いが損も勘定にいれねばならず、果物屋も容易な商売ではないと、だんだん分った。
柳吉にそろそろ元気がなくなって来たので、蝶子はもう飽いたのかと心配した。がその心配より先に柳吉は病気になった。まえまえから胃腸が悪いと二ツ井戸の実費医院へ通い通いしていたが、こんどは尿に血がまじって小便するのにたっぷり二十分かかるなど、人にも言えなかった。前に怪しい病気に罹り、そのとき蝶子は「なんちう人やろ」と怒りながらも、まじないに、屋根瓦にへばりついている猫の糞と明礬を煎じてこっそり飲ませたところ効目があったので、こんどもそれだと思って、黙って味噌汁の中に入れると、柳吉は啜ってみて、変な顔をしたが、それと気付かず、味の妙なのは病気のせいだと思ったらしかった。気が付かねば、まじないは効くのだとひそかに現のあらわれるのを待っていたところ更に効目はなかった。