轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

05 代作恋文

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,830 字 · 24 页

青空文庫

「僕はあの女――幽里子のためにあなたの書いた手紙の宛名が知りたいのです」

「――――」

青白い青年は、卓を隔ててドッカと腰をおろしました。姿や顔の華奢なのに似ず、その性根は図太そうで、言うことも妙にドスが利きます。

「どうです東野さん――いや東野先生、ただとは言いません、打ち開けて下さればお礼はしますよ」

「それは御免を蒙ろう、――どんな手紙を書こうと、あの人と僕との勝手な取引だ」

東野南次は言い切りました。

「どんな手紙――冗談でしょう、手紙の内容を知らずに、こんな事をいう僕じゃない、――僕はね、幽里子さんの後をつけて来て、何時でもこの扉の外で聴いていたんですぜ、――歯の浮くようなラヴ・レターの文句を記憶しているからこそ、こう掛け合っているんだ」

「――――」

「ビルディングといっても、こんな安普請だ。そっくり返ったベニヤ板の扉が、秘密を保てると思っているのかい、――ね、東野先生」

「――――」

「手紙の中味は幽里子さんの言葉でよく解ったが、肝腎の宛名がわからない――あの甘ったるいラヴ・レターを一体誰が幽里子さんから貰っているんだ」

「それは知らない、――私も知ろうとしているが、教えてくれないのだ」