轻松读懂日语经典作品
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ちぎりきぬ
契りきぬ
山本 周五郎
「ロマンス」ロマンス社、1949(昭和24)年10月~11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,757 字 · 66 页
――むやみに赤い色の寝衣の、裾も胸もあらわにして白粉の剥げた疲れたような顔に、根の崩れた髪の毛がかぶさるのも構わず、口や手指をびしょびしょにしながら桃にかぶりつき、あけすけな言葉で客のしなさだめをしては笑うのである。
――なんて楽しそうだろう、このひとたちにはこんな生活が、苦しくも恥かしくもないのだろうか。
おなつはそっと寝返りをうち、雨水のしみのある壁のほうへ向いて眼をつむった。
「男ってへんなものよ、衣巻さんの御連中さ、みんな相当なお家柄の息子さんばかりでしょ、柳町あたりでずいぶん派手に遊ぶっていうのに、それで済まなくって、三味線もろくに弾けないこんな河岸っぷちへ来るんだもの」
「御馳走ばかり食べてると、たまにはお香こで茶漬が欲しくなるのさ」
「あら御馳走はこっちのほうじゃないか」
お菊といういちばん年嵩の女が云った。
「――柳町なんかは一流とかなんとかいってさ、いやにお高くとまってきれいごとな遊びしかさせやしないさ、そこへいくとあたいたちはみえも気取りもありやしない、脂の乗ったこってりしたところをそれこそ食傷するほど……」
わあっと笑って叩いたり叫んだり、障子が音をたてるような騒ぎが起った。