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おんなけんし
女剣士
「小説新潮 第八巻第八号」1954(昭和29)年5月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,694 字 · 74 页
悪いことも……」
「このコソ泥!」
歌子はシャニムニ打ちすえる。ジッとぶたれているような存八ではない。隙一ツない槍ブスマの中からでも逃げたい本能の働きは天下一品の存八である。かいくぐって逃げる。歌子は追いつめる。
「悪いこともしないのに……」
「コソ泥!」
「悪いことも……」
「卑怯者!」
「痛い!」
存八、せっぱつまって歌子の足もとにとびこみ重なりあって倒れる歌子をねじ伏せようとしたが、気楽流の拳法に合わせて揚心流の柔術をもお家の芸にしているから、倒れても犬と同じぐらい敏活な歌子である。スルリぬけでて、存八の胃袋に一撃を与える。地上に這った存八は心気モーローと苦悶する。歌子は尚も許さず、そのクビ根ッこを押えて地面に頭をこすりつけ、
「よく、おきき。私はお巡りさんじゃないのよ。お前の剣術の腕を上達させてあげたいから、隙を見るとぶたずにいられないのよ」
「それはムリだ」
「なにがムリさ」
「ワタシは芋と剣術しているわけじゃないから、芋をほしている時に隙があるのは当り前だ。日本中どこへ行ってもホシ芋と剣術している人がいますかね」
「このウチはそうなんだよ」
「化け物屋敷だ」