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おんなけんし
女剣士
「小説新潮 第八巻第八号」1954(昭和29)年5月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,694 字 · 74 页
そして、常住坐臥、飯を炊く時、水を汲む時、一服の時、畑を耕す時、存八に隙さえあれば打ちすえるようになった。隙を見れば打ちすえずにいられなくなったのだ。愛でなくて何であろうか。
これを歌子がやりだしたのだ。まさしく父と同じことをやりだした。単に稽古に鋭さがでてきたばかりでなく、父の目のとまらぬところで、存八に隙さえあれば打ちすえていることに気がついたのである。
ある日野良仕事を早めに終えて帰宅した朝之助は、歌子が存八を散々に打ちすえているのを見た。
「不覚者!」
歌子は存八をののしっていた。存八はほした芋をとりこむところであったらしく、芋の中に尻もちをついて呆気にとられて歌子を見上げていた。
「なにをなさる。とんでもない。ワタシは芋なんか盗み食いしませんのに」
「お芋を盗み食いしたなんて、いつ云いました。コソ泥がお巡りさんをビクビクする根性がしみついているのね。私はお巡りさんではありません。お芋を盗み食いしたぐらいで打ちやしないわ。隙があったから、ぶったのよ。油断だらけよ。ダラシがないわ」
「悪いことをしないのに、ぶつことはないよ」
「まだ言うのね」
「何べんでも言いますよ。