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おんなけんし
女剣士
「小説新潮 第八巻第八号」1954(昭和29)年5月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,694 字 · 74 页
村の人々は存八を覚えていたが、さて存八が村に住みつくとなると、以前のようによい顔を見せてくれる者がいない。足立という五十がらみの人は村でも旦那の一人だそうだが、人夫仕事が現金になるので働きにきている。この人は存八に最も目をかけてくれた一人であったが、イザとなると存八にネグラを提供しようとしてくれないばかりか、急に挨拶をヨソヨソしく、そそくさと帰り仕度を急いでいる。
存八はお作の姿を探したが、見当らない。お作がいてくれさえすればと思ったが、それも諦めた。むしろ怖しくなったのだ。村の人々が言い合わしたようにこの調子では、お作だって、どうだか分らない。みんなマボロシだったのだ。刑務所を今でたばかりの彼は自分とシャバとの溝の距てを感じるのも早く、その感じ方も特別だ。お作の姿の見当らないのがむしろ幸い、お作に会うのが怖しいぐらいの気持になった。結局飯場の世話になるより仕方がないと思ったが、ふとナンキン袋を見ると、この袋にかけても盲メッポウ執念の鬼となって世帯をもってとわが心に云いきかせたのは本日今朝のことである。泣きたいような切なさだ。
存八は帰りかける足立を急いで追って、