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おんなけんし
女剣士
「小説新潮 第八巻第八号」1954(昭和29)年5月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,694 字 · 74 页
「ねえ、旦那。ワタシも真人間になって世帯の一ツももちたいと覚悟をきめてきたんです。飯場へ寝泊りすると昔のヤクザに戻るばかり、どうか助けると思って、小屋を貸して下さい。二三日で結構です。ヤブの中へ棒キレを集めて小屋を造ってでも住みつきたいと思いますのでね。村の方に迷惑はおかけしません」
「それじゃア、小山内さんへ行ってごらん。あそこはゲボクを求めていらッしゃる。ゲボクが居つかないのでね」
「ゲボク?」
「他家では下男という。小山内さんでは下僕と仰有る。剣の家柄で、道場があって、その道場の下僕だな」
「この山奥にね。門人が大勢いるんですか」
「いない」
「道場は空き家だね。そこへワタシが泊るんですかい」
「下僕だよ」
「へえ、そうですか。どうもありがとうございます」
足立は存八を小山内家の門前までつれてきてくれた。
農家の造りはたいがいそうだが、門をはいると五六百坪もありそうな殺風景な広場があって、※(「奚+隹」、第3水準1-93-66)なぞが遊んでいるものだ。ここには※(「奚+隹」、第3水準1-93-66)もいない。広場の隅に大きな松の大木が一本あって、その根ッこに男と女が腰かけて休息している姿が見えた。