轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じょよう
女妖
江戸川 乱歩
01 前篇
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,691 字 · 20 页
彼自身が下手人に設定されているのだ。それが、かぐわしい空いっぱいの幻の裸女の願いなのだ。花のような彼の神様の意志なのだ。彼女の犠牲となることは、浩一の無上の喜びだった。彼女のために下手人になることが、泣き出したいほど嬉しかった。
浩一は、もがいている醜い中年男を憎悪した。しかし、彼の飛び出した哀願の目は恐ろしかった。もう助ける道はない。半分死んでいるのだ。そして、早くこの苦しみを断ってくれと、哀願しているのだ。
彼はそのへんを、キョロキョロと見廻した。ベッドの枕下の小卓に小型の卓上燈があった。そのブロンズの台が、重そうに見えた。彼はいきなり、それをひっつかんで、もがきまわる男の頭のへんに、両足をひろげて立った。
浩一は、その光景が、死ぬまで目の底に残っていた。その刹那にひらめいた考えか、あとになって連想したのか、よくわからなかったが、その時の光景と遙か幼時の記憶とが、かたく結びついて離れなかった。
七八歳の頃、近所の腕白小僧どもといっしょに、一匹ののら猫を追っかけていた。猫は生垣の中に身をかくした。みんな石を投げつけた。誰かの石が猫の顔にあたった。