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じょせい
女婿
佐々木 邦
「主婦之友」1925(大正14)年9月~11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,954 字 · 43 页
細君の我儘が外まで知れ渡るのは真に辛い。家の中丈けならいくらでも我慢するが、と女婿は斯ういうことには本能的に神経過敏だ。これはこれを機会に矯正の第一着手を試みるのが良人としての責務だと感じると、清之介君は胸がドキ/\して来た。しかし黙ってはいられない。癖になる。小言をいうのではない。喧嘩をするのでもない。誠意をもって理を諭して反省を促すのだから、と尚お考え/\夕食を終った後、決然として切り出した。尤も他の良人とは行き方が違う。改まるほど物丁寧になる。
「妙子さん」
「何ですか?」
「あなたは先刻……」
で最早行き詰まったのでもないが、声が震えているのに気がついて、中休みをしたのである。
「先刻?」
と妙子さんは聞き返して、
「あら、あなた何うかなさいましたの? お顔色が悪いわよ」
と怪しんだ。まさかこの男がこれから説諭を始める料簡だとは思わない。
「いゝえ、顔色は悪くありません。あなたは先刻辻村君がお嫌いだと仰有いましたね?」
と清之介君は漸く本題に入った。ナカ/\手間が取れる。
「もう宜いじゃありませんか。そんなこと」
「いゝえ、親友のことですから気になるんです」