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じょせい

女婿

佐々木 邦

「主婦之友」1925(大正14)年9月~11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,954 字 · 43 页

青空文庫

その翌日妙子さんは無論お里へ行った。用がなくても三日と間を置いたことはないのだから、これぐらいの異変があれば当然出掛ける。尤も元々頻繁に往復するのが目的で、こんな近間へ越して来たのである。顔を合せると直ぐ、

「お母さん、私、昨夜清之介と喧嘩しちゃったの」

という触れ込みに、

「まあ、何うしたのさ?」

と母親は目を見張った。

「大喧嘩をしちゃったの。お母さん、家へ辻村って人が来たことがありますか、矢っ張り会社の?」

と妙子さんは母親に対してもこの通りの我儘で、自分の訊きたいことから先に訊く。

「辻村さん? お名前だけは伺っていますが、そう/\、清之介さんのところへ幾度も見舞いに来てくれた人でしょう?」

「そうですよ。何うせ家へなんか寄りつく人じゃないんです。その人が清之介の親友で、清之介に私を貰わないようにって勧めたんですよ。憎らしいじゃありませんか?」

「そんなことよりもお前、何うして清之介さんと喧嘩なんかしたのさ? 話して御覧なさい」

「その人のことで言い合ったのよ。私、悉皆知っていたから、昨日辻村さんが来た時態と出ないでいてやったんです。すると後から清之介が苦情らしく申しますから、私斯ういう時だと思って、ひどい目に会わしてやったの」