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じょせい

女婿

佐々木 邦

「主婦之友」1925(大正14)年9月~11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,954 字 · 43 页

青空文庫

それじゃ僕は誘惑したいんですが、応じてくれますか?」

「お供しましょう」

とあって、会社が引けてから二人で飲みに行くことに相談が纒まった。

それで妙子さんが晩のお料理とお化粧に念を入れて只管良人の帰宅を待っていた頃清之介君は笠井君を相手に銀座のバーでウィスキーに親しんでいた。

「時に笠井君、君は真正に未だ独身なのですか?」

「さあ。それは原さん、媒妁ですか? それとも品行調査ですか?」

と笠井君は必ず質問の趣意から訊いてかゝる。

「例によって用意周到ですな。それぐらいにやらないと出世しません。ハッハヽヽヽ」

と清之介君はアルコールの力で上機嫌になって、

「何方でもないんです。まあ好奇心ですな」

「それなら御想像に任せましょう」

「想像は困るな。しかし意味深長だな。まあ/\独身ものと認めて置け。そうして媒妁なら何と召さるゝ?」

「独身です。好いのがあれば貰いますよ」

「品行調査なら?」

「妻が一人あります。尤も目下は親が病気で里へ帰っています」

と笠井君が答えた。

「笠井君、君は以前は教育界にいたそうだが、何うしてあんな下らない会社へ入って来たんだい? それを承りたいね。