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つまのざ

妻の座

壺井 栄

「新日本文学」1947(昭和22)年8月、1949(昭和24)年2月~4月、7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 82,695 字 · 165 页

青空文庫

二

疲れ果てた閑子が食事も忘れていびきをかいて眠っている時、野村はこの手紙を書いているのだ。せんの女房は九文の足袋をはく女でした。私の腕の中にはいってしまう女でした。……閑子は九文七分の足をもつ大きな女であることをかくしていたとでもいうのか。野村はそれを知らずに結婚したとでもいうのか。やっぱりきれいな奥さんがほしかったのだと、貞子はいう。野村は結婚して始めてそれが分ったとでもいうのか。それとも不器量な閑子を押しつけられたとでも考えているのか。それとも知らず、寝室を共にしてくれと愚かな手紙を書いたことがミネの心をかきむしる。これほどのいきさつとも知らずに、閑子はまた野村のところへ帰っていったのだ。土産の数々をととのえて、二晩を一晩にちぢめて帰っていった閑子、野村はそれを、どんな態度で迎えたろうか。今にして晴れた野村の不可解な態度が一つ一つ思い出されてきて、ミネの唇はふるえ、恥と怒りと悔恨が次第に全身にみなぎってくるのを一生けんめいで押えていた。貞子もだまってうつむいていた。

二

一九四六年十月末の三日間を、ミネたちのよっている文学団体の第二回全国大会が渋谷公会堂でもたれていた。