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しぎょうしきくんじ
始業式訓示
大隈 重信
「早稻田學報 第貮百九拾壹號」早稻田大學校友會、1919(大正8)年5月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,974 字 · 11 页
しかしこの主義が極端に行くと、大いなる過ちに陥る。それで何処までも共同だ。而してこの共同の力が盛んになると国家は繁昌する。この力が欠けると利己主義に陥り国家を危うくする。国家の安危盛衰の岐れるところはこの道徳的に精神的にいわゆる人類の共同ということを忘れるや否やにある。
競争も武力に依らずして経済的に競争する、学術的の競争をする。そうすれば必ずこの競争の間に幸福も安全も捗らされるのである。一度共同の心が欠けると利己主義となる。世界の勢いはそういう有様になっている。この過ちを改めることはあるいは出来ぬかも知らん。もし欧羅巴人がその過ちを改むることが出来なければ、欧羅巴の文明はここに終りを告げて、欧羅巴は亡びる。こういうことを私は当月の大観の雑誌の末文に友誼的に宣言しておいた。これは決して悪口ではない。全く友誼的なる親切なる忠言である。如何となれば日本人が民族的差別を撤廃しようというと、利己的にこれを排斥する。これは共同の精神を失っているのである。しかしながらかくの如き誤れる僻見は一朝にして改めることは出来ない。そこで国民共同して努力して世界最高の文明と称し、世界最大の強国と唱えるところに向って競争する。