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ふじんとぶんがく
婦人と文学
宮本 百合子
※「作品について」参照
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,792 字 · 351 页
「谷間の店」の大谷藤子、「諸国の天女」その他の詩から、はじめて「帽子と下駄」で小説にうつった永瀬清子、「女一人」の芝木好子、「彌撒」を書いた阿部光子、その他の婦人作家たちの生活と文学も、これからの日本の動きの中では、精力的につよめられ、豊富にされ、のびやかにされてゆく条件も見出せよう。遠い雪山の稜角が日光に閃くような趣の北畠八穂の文学は、素木しづ子の短篇が近代化された姿で思いかえされる。
『新日本文学』の作品コンクールは「死なない蛸」の作者譲原昌子と、「靴音」の作者高山麦子をおくり出した。
『婦人文庫』という雑誌が女流作家の特輯を出したりしているのを見て、心をうたれる思いがある。それはこういう場面に執着している何人かの婦人作家たちは、ジャーナリスティックな意味では、新進であろうのに大変書き馴れていて、その大さなりに殆ど爛熟してしまっている点である。単に筆の上だけでない爛熟が感じられる。どこで、いつの間に、こうして、婦人の生活と文筆の才能とは、頽れるばかりのものとされて来ていたのだろう。
日本の女として、これまでに負わされて来た名状しがたいほどの苦痛と負担とは、一人一人の婦人作家についてみれば、誰一人として、そこから自由であったものはない。