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ふじんのそうぞうりょく

婦人の創造力

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第十一巻」河出書房、1952(昭和27)年5月発行

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,667 字 · 31 页

青空文庫

れた。女らしいということは、女ですからどんなに男の中へ入っても女は女です。つまり防空演習のときに梯子に登っても、爆弾が落ちたとき何を被って逃げたとて女は女である。別にそんなに女々といわなくとも自然に女は女の可愛いところがある筈です。文学評価の中にへんに女っぽいことを持込む必要はないのです。女らしい女心、女の心ですから女心になりますけれども、同じことをいっても女の声は自然にソプラノになるのだから。女はまた女の持っている特殊な社会状態があるから男の知らない状態もたくさんあるわけです。それを正面から女らしさという問題で片づけるのでなくて、女がどんなに人間であるか、男と同じように、この世に幸福を求めて幸せになって一生の値打を発揮して安心して働いて生きて行きたいという、男と共通の人間らしい心を先ず認めて欲しい。別に意識的にソプラノを歌うのでなく、人間の声を出せば女は自然にソプラノとして出て来る。そのように文学は生活の声であり、心の声、思いの歌である。女が歌えばソプラノにもアルトにもなるけれども、それは女の芸当ではない、もっと真面目なものです。ですから、或る時代に婦人作家が大変に擡頭した場合にも、真面目な婦人作家は苦しみました。