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ふじんのどくしょ

婦人の読書

宮本 百合子

「知性」1940(昭和15)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,784 字 · 8 页

青空文庫

そして、現在でもこの要素はめんめんとして命脈をたもってきている。第一次のヨーロッパ大戦の前後、日本にはじめて職業婦人というものがあらわれ、婦人の社会的な自覚が一般の念頭に燃えたころ、中央公論社は、『中央公論』の姉妹として『婦人公論』を、改造社は『女性改造』を発刊して、婦人の向上のために役立とうとした。『女性改造』の発刊の言葉には、真摯なその熱情があふれていたのにわずか数年の後、『女性改造』は廃刊され、『婦人公論』は急角度に従来ありきたった婦人雑誌の傾向に歩みよらなければならなかったというのは、どういう理由によるものであったろうか。

ここに、当時の社会情勢が反映していると思う。そのころ『女性改造』のような内容をほんとにわかってよむ婦人たちは、時代のもたらした世界思潮の、より明確な歴史性を把握した読書の方向へぐんぐん自身を成長させていっただろう。さもない部分の婦人たちにとって、そういう雑誌はむずかしすぎるという目で迎えられ、日本の婦人の社会生活の全局から見れば、その潮先ははやくつよく進み出ているが、重くひろくくらい襞々をたたんだその裾は伝統のなかに引きすえられている実状から、営利の事業として出版をつづけてゆかれなくなった次第であったろう。