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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

「なあ、め組。」

「ええ、」

「これから河野へ行くんだろう。」

「三枚並で駈附けまさ。」

「それに就いてだ、ちょいと、ここに話が出来た。」

七

「その、河野へ行くに就いてだが、」

と主税は何か、言淀んで、

「何は、」

お蔦に目配せ、

「茶はないのか。」

「お茶ッて? 有りますわ。ほほほほ、まあ、人に叱言を云う癖に、貴郎こそ端近で見ッともないじゃありませんか―ありますわ―さあ、あっちへいらっしゃい。」

と上ろうとする台所に、主税が立塞がっているので、袖の端をちょいと突いて、

「さあ、」

め組は威勢よく、

「へい、跡は明晩……じゃねえ、翌の朝だ。」

「待なッてば、」

「可いよ、めのさん。」

「はて、どうしたら、」と首を振る。

「お前たちは、」

と主税は呆れた顔で呵々と笑って、

「相応に気が利かないのに、早飲込だからこんがらがって仕様がない。め組もまた、さんざ油を売った癖に、急にそわそわせずともだ。まあ、待て、己が話があると言えば。

そこでだ……お茶と申すは、冷たい……」

と口へつけて、指で飲む真似。

「と行る一件だ。」

「め組に……」

「沢山だ、沢山だ。私なら、」

と声ばかり沢山で、俄然として蜂の腰、竜の口、させ、飲もうの構になる。