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がくもんのじゆう
学問の自由
寺田 寅彦
「鉄塔 第二巻第九号」1933(昭和8)年9月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,046 字 · 7 页
その際もしも、その研究員が、更に進んでその欠点を除去し、その商品を完成するように研究の歩を進めるならば結構であるが、そうでなくて、その欠点を委細構わず天下に発表して、その結果その会社に多大な損失をかけ、事によるとその会社の存在を危うくするような心配が生じたとする。その場合その研究員を免職させない会社があったら、それは記録に値いするであろうと思う。
官営また私営の純粋な科学研究を目的とする研究所も少数にはある。そういう処は比較的最も自由な学者の楽天地である。しかしそういう処でも「絶対の自由」などという夢のようなものはおよそ有りそうもないようである。そういう理想郷の住民でも、時々は例えば研究の「合理化」といったような、考えようではむしろ甚だ不合理な呼び声にしばしば脅かされなければならないことがあるのもまた事実であり、現在の現象である。
「環境」という方面から見た「研究の自由」に関する「事実」は、先ず大要以上のごときもののようである。
また一方、研究者の内面生活の方面から見た「自由」はどうかと見ると、これは全く個人個人の問題で、一概に云われないようである。