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うちゅうのまいご

宇宙の迷子

海野 十三

「少年クラブ」1947(昭和22)年4月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,497 字 · 29 页

青空文庫

艇内はしばらくしずまりかえっていた。ただ聞えるのは、艇の後部ではたらいている原子力エンジンの爆発音の、にぶいひびきだけだった。

そういう状態が十五分ほどつづいたあとで、山ノ井はスイッチを自動操縦の方へ切りかえて、操縦かんから手をはなした。そしてほっと大きな息をついて、となりの川上の方へ顔を向けた。

「ポコちゃん。ようやく流星群を通りぬけたらしい。もう、だいじょうぶだろう」

「だいじょうぶかい。いん石があんな大きな火のかたまりだとは思わなかった。こわかったねえ」

「まったくこわかった。下界から空を見上げたところでは、流星なんか大したものに見えないけれど、今みたいにすぐそばを通られると、急行列車が五六本、一度にこちらへとんでくるような気がして、ひやっとしたよ」

そういっている山ノ井のひたいから、汗のつぶがぼたぼたと流れおちた。

原子力エンジンは、この宇宙艇で地球から月の世界をらくにおうふくさせてくれる。それがわかっていたから、二少年はカモシカ号に乗って地上をとびだしたわけである。しかしそれはかるはずみであったと、今になって気がついた。やはり本職の宇宙旅行案内人をやとっていっしょにこのカモシカ号に乗組んでもらうのがよかった。