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うちゅうせんぺい

宇宙尖兵

海野 十三

「新青年」1943(昭和18)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,974 字 · 72 页

青空文庫

ご馳走はございませんが、どうぞ召上ってください」

給仕は慇懃に言葉をかえす。

僕は卓子の上を見た。

「おや、二人分の食事じゃないか。誰か、ここへ喰べに来るのか」

僕は意外な発見に愕いて、訊ねた。

「はあ、もうひとかた、ここへ来られまして食事をなさいます」

「誰だい、それは……」

「はい。そのかたは――ああ、もうお出でになりました」

戸口が開いて入って来た者がある。その人物の顔を見て、僕は思わず呀っと声をあげた。

「魚戸じゃないか。なあんだ、きさまだったか。ひどい奴だ、僕を散々手玉にとりやがって……」

僕は魚戸をぐっと睨みつけてやった。ところが、魚戸は、意気悄沈、今にも泣き出しそうな顔をしていた。四十男のべそをかいたところは、見ちゃいられない。

「おれは一杯はめられた」

魚戸は吐きだすように、これだけいって、僕の傍に、崩れるように腰を下ろした。魚戸の顔色はよくない。

「君は一杯はめられたというが、その君は僕を一杯はめたのじゃないかね、リーマン博士と共謀して……」

「それは君の誤解だ。だからといって、君の疑惑がすぐ融けるとは思わない。それはいずれゆっくり釈明するとして、おい岸、われわれはこれからたいへんな旅行を始めるのだぞ。