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うちゅうせんぺい
宇宙尖兵
海野 十三
「新青年」1943(昭和18)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,974 字 · 72 页
魚戸は、本艇に搭乗以来、僕を煙たそうにして避けているように見えた。そういう態度は、僕にとって決して愉快なことではなかったし、一方僕は前にも述べたように、この艇内に青春を鋳潰すと決ったことの悒鬱さで、機嫌はよくなかったので、魚戸と喋ることは僕の方からも避けていたといえる。
しかし僕は魚戸に対していいたいことはいくつか持っていた。その一つは、魚戸こそ僕をリーマン博士に推薦し、僕の青春を鋳潰す計画をたてた発頭人ではないか、それを正したかったこと、その二つは、イレネとの関係について日本人たる彼が如何なる考えを持っているのか、同胞の一人としてその所信を正して置きたかったこと、その外に、彼が今度の宇宙旅行に参加するについて如何なる見識を持っているかということであった。まさか彼魚戸ともあろうものが、単なる恋愛のことや一時の好奇心で、向う十五年の貴重な年齢を無駄費いし、五十五歳にして地球へ帰ることを承知しているとは思われない。そこには何か考えていることがあるのではなかろうか。たとえば途中にて脱走の手段などを予め研究し用意してあるのではなかろうか。
とにかく、このところ僕を悩ます最大のものは、宇宙旅行の冒険ということよりもむしろ向う十五ヶ年の空費についての悒鬱であった。