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うちゅうせんぺい
宇宙尖兵
海野 十三
「新青年」1943(昭和18)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,974 字 · 72 页
飛び出した赤ちゃんは脳震盪を起すし、夫人は出血が停らなくて大さわぎだったよ」
魚戸は、同情にたえないという目付で、そう語った。愛妻のイレネの身の上のことも考えているのであろう。もちろん僕も愕いた。
「で、赤ん坊はどうした」
「赤ちゃんは幸いにも生きている。しかし果して異状なしかどうだか、もうすこし生長してみないと分らないそうだ」
「そうか。気の毒だなあ。そして夫人は」
「ベルガー夫人の出血はようやく停った。絶対安静を命ぜられているが、しきりに赤ちゃんの容態のことを気にして、大きな声で泣いたり急に暴れだしたりするので、医局員は困っている」
「なぜ暴れるのかね」
「夫人は、掃除夫のカールが床に油を引きすぎたから、それで滑ったと思っているんだ。だから夫人は掃除夫のカールのところへ押掛けて首を絞めるのだといってきかないのだ」
「それはカールの罪じゃあるまい」
「もちろんカールには関係なしさ。もし罪を論ずるとすると、このように急に重力が減ってきたのに対し、艇長が何等の安全処置も講じなかったことにあるだろう」
「安全処置なんて、考えられることなのか」
「考えられるとも。いや、現に本艇にはその設備があるんだ。