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うちゅうせんぺい
宇宙尖兵
海野 十三
「新青年」1943(昭和18)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,974 字 · 72 页
消えるベラン氏
「おい見たか今のを……。ベルガー夫人の幼児が、微粒子に分解されて地球へ向って送られたのだ。素晴らしい装置ではないか」
ベラン氏は感動のあまり顔中をぴりぴり震わせながら僕に囁いた。
「それはどういう意味なのかね」
僕にはさっぱり嚥み込めない。
「分らん奴だなあ、君は。つまり立体テレビジョンの方式を解剖整形学に活用したものだと思えばいいのだ。とにかくおれは、こうして現場を抑えた以上は、今日こそリーマン博士に喰い下って、地球へ帰らせて貰うのだ」
ベラン氏は、そういったかと思うと、大きな足音をたてて床にとび下りた。そして間の扉を開いて、リーマン博士とその助手たちが額を集めて何か議し合っている部屋へとび込んだ。
僕は、戸棚の上に取残されたままだった。
ベラン氏が、リーマン博士の胸倉をとって、盛んに口説きだした様子である。何を喚いているのか、僕のところへは聴えてこない。
博士の助手たちが、ベラン氏をうしろから取押えて、博士から引放そうとした。しかし博士は手をあげて、それを停めたようであった。
やがて博士とベラン氏とが、肩を並べて、かの大きな硝子壜のような器の中に立って、両手を盛んにふって話を始めた。