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あんごしんにほんふどき
安吾新日本風土記
02 第一回 高千穂に冬雨ふれり≪宮崎県の巻≫
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,371 字 · 34 页
青島ならば宮崎から三十分の時間だが、鵜戸となるとそう簡単には参らない。元来土地の信仰だけでまもられてきたところなのである。
茶店の婆さんの哀願泣訴のいたいたしさに私は一ツの日向を見た思いがした。パンパンなみのタックルもやりかねまじいすさまじさ。どの土地のどのような人間でも、生きるためには同じことをしなければならないのである。鵜戸の豪快な神話と風光の中においてもそうなのだ。日向のノンキな熊襲族でも生きるためには婆さんがパンパンなみに客引きせざるを得なくなるのである。
要するに生活の条件は全国おしなべて同じことなのだが、日向の古墳だけが盗掘されなかったということは、生活の条件をこえた神話の支えがあったということ、私は結局その力を感ぜざるを得なかったのである。
しかし日向の古墳群は土地の人々が過大に考えているほど日本に類の少いものではない。群馬県では土地の人々があまり関心をもたないけれども日向に匹敵できるぐらい相当な古墳が散在しており数も少くない。お隣りの足利では私が去年山上の日当りのよい土地を借りて、小さなイオリをつくろうかと思った。地主はお寺であった。