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あんじゅうこん
安重根
谷 譲次
――十四の場面――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,548 字 · 100 页
禹徳淳が抱き停める。
禹徳淳 こら、早まったことをするな。安君の真意を突き留めてから――おい、朴を抑えろ!
制しようとする者と、朴鳳錫とともに台所へ侵入しようとする者とで舞台一面に争う。禹徳淳、白基竜、黄成鎬ら台所のドアを守る。ついにドアが開かれて、電燈の暗い台所、ドアのすぐ向側に、安重根を庇って柳麗玉が立っているのがちらと見える。朴鳳錫を先頭に同志一、二、青年C、E、J、K、L等一団に雪崩れ込んで行く。
9
もとの台所。
第七場の続き。安重根は外套を着て歩き廻り、柳麗玉は尊敬を罩めて見惚れている。多勢の合唱が隣室から聞えている。
安重根 (快活に)ルバシカの上から背広を着て、おまけにこのロシア人の大きな外套――とくると、考えものだぞ。日本人には見られないかもしれない。
柳麗玉 (一緒に考えて)今日お買いになったのね。この洋服や何か――でも、変装のことなんか、李剛先生は何ておっしゃって?
「国民たる義務を尽さずして、無為平安に坐せんには――。」禹徳淳の繰返しがはっきり聞えてくる。
安重根 (それを耳に傾けながら)日本人に見られないとすると、時節柄、怪しまれるにきまっている――。