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いえのはなし

家の話

柳田 国男

「奉公」奉公会、1918(大正7)年1月~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,799 字 · 23 页

青空文庫

東部下野は自分の家に関係があるからしばしばその旧記に目を触れているが、那須郡の七騎とか、某郡の十何名などという総括した名称を持っている旧家は、どこの国でもことに目を付けられて、多くは根こそげに絶滅させられた、中にはおそらくは無実な刑罰もいくらもあったことと思う。山内侯爵家の祖先が、土佐で実行せられたという対地侍策のごときは、なかんずくこの経過を委しく語っている。最初には最も強硬な少数をおびき出して来て殺した。その次には彼等が引き籠って命を奉じないのを、攻め寄せて討ちとった。それでもいかぬのでその次には懐柔策を採った。たとえに引くのは不倫であるかも知らぬが、今日台湾の総督府が東部の蕃人に対して採っている策も、ほぼこの範囲を出ないのである。

土佐の郷士はその勇猛にして偏屈なる気質を、今なお保存しているが、昔この山国の小天地に、比較的自由な生活を続けていたものが、一朝にして新領主の新制度に拘束せられんとしたのであるからして、その反抗の激しかったことも想いやられるのである。ことに彼等はいまだ充分に長曾我部家の恩顧を受けきらぬ内に、その家と別れたのである。