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いえのはなし
家の話
柳田 国男
「奉公」奉公会、1918(大正7)年1月~4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,799 字 · 23 页
全国交通の由来
この事実は、今日の大都会の旧家の歴史を尋ぬれば、容易く証明せらるるのである。京でも大阪でも堺でも、江戸時代の初期に名をなした大商人は、いずれも浪人の転業であった。士族の商法であった。たしか貝原益軒翁の全集中に、福岡の大町人の由緒の集めたものがあった。近頃できた『名古屋市史』には、あの町の旧家の若干が列記してあったが、いずれもともに領主からの特別の保護を受け、与えられたる特権によって経済上の地位を作り上げた者が多く、もちろん本人の技倆才覚が根本の条件にはなっているけれども、要するに方面こそ違え、皆諸侯の従属として新たにかくのごとき有利なる地位を賦与せられた点は、武士と異るところなく、しかも彼等はいずれも由緒ある旧家、すなわち中世の武家の流れを汲んでおったものであって、決して、先祖代々の商人ではなかったのである。
全国交通の由来
江戸時代初期の商業人口増加率は、おそらくは明治初代のそれに超過するものがあったことであろう。ことにその品質においては確かに昔の方が立派なものが多かった。他の同胞より智力においても、はたまた世界観においても、数段傑出しているものでなければ、地方割拠の経済組織を突き破って、全国交通の大系統を打ち立てることは難かったはずである。