轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いえ

家

島崎 藤村

01 (上)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,748 字 · 254 页

青空文庫

何かにつけて、お種の話は夫の噂に落ちて行った。何故、達雄が妻子を捨てたかという疑問は、絶えず彼女の胸を離れなかった。

「妙なものだテ」とお種は思出したように、「旦那が未だ郷里の方に居る時分――まあ、唐突と言っても唐突に、ふいとこんなことを言出した。お種、お前を捨てるようなことは決して無いで、安心しておれやッて。それが、お前さん、夢にも私はそんなことを思ったことの無い時だぞや。それを聞いた時は、私はびくッとした……」

「姉さん、そういう時分に家の方のことが幾分か解りそうなものでしたネ」

「解るものかよ。朝から晩まで、御客、御客で。それ酒を出せ、肴を出せ、出さなければ、また旦那が怒るんだもの。もうお前さん、ゴテゴテしていて、そんなことを聞く暇もあらすか」

「私が姉さんの許へ行った時分は、達雄さんも勉強でしたがナア」

「あの調子で行ってくれると、誠に好かった。直に物に飽きるから困る。飽きが来ると、復た病気が起る――旦那の癖なんですからネ」

「それはそうと、達雄さんも今どうしていましょう」

「どうしていることやら……」

「やはりその女と一緒でしょうか」

「どうせ、お前さん長持ちがせすか――御金が無くなって御覧なさい。