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ふじ
富士
岡本 かの子
「文芸」1940(昭和15)年11月号~1941(昭和16)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 40,579 字 · 82 页
幼い青春が見舞った。「環境」と「誰」を感じた。突き上げて来た物恋うこころ。自らによって他を焼き度く希う情熱をはじめて自分は感じた。
自分は眩暈がして裂けた。息を吹き返して気が付いたときに、自分は見る影もない姿に壊れていた。胸から噴き流れて凝った血が、岩となって二枚目の肋骨としてまわりに張っていた。
自分は泣く泣く砂礫を拾って、裸骨へ根気よく肉と皮を覆うた。
しばらく、爽かで湛えた気持の世の中が見廻わせた。自分は第二の青春を感じた。
同じく物恋うるこころ、それには、「疑い」と「恥かしさ」が、厚い殻となって冠っていた。それをしも押しのけて、自らによって他を焼き尽そう情熱、自分はまたしても眩暈いがした。裂けた。息を吹き返して気が付いたときに、自分は醜い姿に壊れていた。けれども自分の胸から噴き流れて凝った血は、三枚目の肋骨となって、まわりに張っていた。自分は泣く泣く砂礫を拾って裸骨へ根気よく砂礫の肉と皮を覆った。
しばらく、物憂く、嫉たく、しかも陽気な世の中が自分に見えた。自分は娯しい中に胸迫るものを感じ続けて来た。
第三の青春を感じた。
同じく物恋うるこころに変りはないけれども、自分はそれにも増して、「知る」