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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第三巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:からすうりの花と蛾、火山の名について、日常身辺の物理的諸問題、量的と質的と統計的と、物理学圏外の物理的現象、ロプ・ノールその他、青衣童女像、カメラをさげて、連句雑俎、ラジオ・モンタージュ、青磁のモンタージュ、読書の今昔、映画の世界像、「手首」の問題、映画雑感(Ⅰ)、生ける人形、映画芸術、音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」、俳諧の本質的概論、夏目漱石先生の追憶、田丸先生の追憶。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 页
の愛読者であったところの明治二十年ごろの田舎の子供にこのライネケフックスのおとぎ話はけだし天啓の稲妻であった。可能の世界の限界が急に膨張して爆発してしまったようなものであったに相違ない。
やはりそのころ近所の年上の青年に仏語を教わろうとしたことがある。「レクチュール」という読本のいちばん初めの二三行を教わったが、父から抗議が出てやめてしまった。英語がまだ初歩なのに仏語をちゃんぽんに教わっては不利益だという理由であったが、実際はその教師となるべき青年が近隣で不良の二字をかぶらせた青年であるがためだということが後にわかって来た。思うにかれは当時の新思想の持ち主であったのである。それから十年の後高等学校在学中に熊本の通町の古本屋で仏語読本に鉛筆ですきまなしにかなの書き入れをしたのを見つけて来て独習をはじめた。抑圧された願望がめざめたのである。子供に勉強させるには片端から読み物に干渉して良書をなるべく見せないようにするのも一つの方法であるかもしれない。そうして読んでいけないと思う種類の書物を山積して毎日の日課として何十ページずつか読むように命令するのも一法であるかもしれない。