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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第三巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:からすうりの花と蛾、火山の名について、日常身辺の物理的諸問題、量的と質的と統計的と、物理学圏外の物理的現象、ロプ・ノールその他、青衣童女像、カメラをさげて、連句雑俎、ラジオ・モンタージュ、青磁のモンタージュ、読書の今昔、映画の世界像、「手首」の問題、映画雑感(Ⅰ)、生ける人形、映画芸術、音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」、俳諧の本質的概論、夏目漱石先生の追憶、田丸先生の追憶。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 页
ありがたくもあればまたドイツ人は恐ろしいとも思った。これが日本の書店だと三月も待った後に御注文の書籍は非売品の由につきさよう御承知くだされたしという一枚のはがきを受け取るのではなかったかと想像する。間違ったらゆるしてもらいたい。そう想像させるだけの因縁はあるのである。
書店にはなるべく借金をたくさんにこしらえるほうがいいという話を聞いて感心したことがある。正直に月々ちゃんと払いをすませるような顧客は、考えてみると本屋でもてなくてもよいわけであった。それでバックナンバーでも注文する時はその前に少なくも五六百円の借金をこしらえておくほうが有効であるかもしれない。これは近ごろの発見であるような気がした。
将来書物がいっさい不用になる時代が来るであろうか。英国の空想小説家は何百年間眠り続けた後に目をさました男の体験を描いているうちにその時代のライブラリーの事を述べている。すなわち、書物の代わりに活動のフィルムの巻物のようなものができていて文字を読まなくても万事がことごとくわかることになっている。しかしこれは少し書物というものの本質を誤解した見当ちがいの空想であると思われる。