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からすうりのはなとが

寺田寅彦随筆集 第三巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第三巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:からすうりの花と蛾、火山の名について、日常身辺の物理的諸問題、量的と質的と統計的と、物理学圏外の物理的現象、ロプ・ノールその他、青衣童女像、カメラをさげて、連句雑俎、ラジオ・モンタージュ、青磁のモンタージュ、読書の今昔、映画の世界像、「手首」の問題、映画雑感(Ⅰ)、生ける人形、映画芸術、音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」、俳諧の本質的概論、夏目漱石先生の追憶、田丸先生の追憶。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 页

青空文庫

実はこういう自分にも近ごろの野球戦に群がる人間の大群の意味は充分完全にはよくわからないのである。

しかし蝗やフラミンゴーに限らず、ゼブラでもニューでも、インパラでもジラフでもみんな群れをなして棲息している。アフリカでは食うことの不自由はないであろうからやはり生命の敵に対する防衛の便宜から自然に集団生活に慣らされたのか、それとも生殖の便宜からか、あるいはスポーツのためだか自分にはわからない。それはとにかくアフリカ映画でこれらのたくさんな動物の群れの中に交じった少数な人間の群れを見ると、アフリカの原野では少なくとも動物も人間も対等の存在であるという感じがする。それをいわゆる文明人が出かけて行って単なる娯楽のためにムザムザ殺すのがどうも不都合だという気がしてくる。

酋長のむすこがライオンに食われる場面がある。あれはどうも映画師がほとんど計画的に食わせるように思われて不愉快であった。白人にとっては黒人はおそらくゼブラや疣猪とたいしてちがったものには思われてないのではないかという気がしてならない。黄色人はどの程度に思われているのかが次の問題になる。西洋のある国が世界を征服する日を夢みているような日本人があったら、そういう人はこの映画を見るといいと思う。