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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第三巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:からすうりの花と蛾、火山の名について、日常身辺の物理的諸問題、量的と質的と統計的と、物理学圏外の物理的現象、ロプ・ノールその他、青衣童女像、カメラをさげて、連句雑俎、ラジオ・モンタージュ、青磁のモンタージュ、読書の今昔、映画の世界像、「手首」の問題、映画雑感(Ⅰ)、生ける人形、映画芸術、音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」、俳諧の本質的概論、夏目漱石先生の追憶、田丸先生の追憶。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 页
それでとうとう田丸先生に相談を持ち掛けたところが、先生も、それなら物理をやったほうがよかろうと賛成の意を表してくださった。少なくも、そういうふうにその時の先生の話を了解したので、急に優勢な援兵を得たように勇気を増して、夏休みに帰省した時にとうとう父を説き伏せ、そうして三年生になると同時に理科に鞍がえをしたのである。それがために後日できそこないの汽船をこしらえて恥をかくであろうことの厄運を免れた代わりに、将来下手な物理をこね回しては物笑いの種をまくべき運命がその時に確定してしまったわけである。しかし先生にその責任をもって行くわけでは毛頭ない。それどころか、造船をやらずに物理をやったことを後悔したことは三十余年の間に一度もなかったのである。
自分が高等学校を出た後まもなく先生は京都大学、ついで東京大学に移られ、それから留学に出かけられた。帰朝後いよいよ東京へ落ち着かれたころは、西片町へんにしばらくおられて、それから曙町へ生涯の住居を定められた。自分はそのころ小石川原町にいて曙町には近いものだから、時々ヴァイオリンをさげて行っては先生のピアノのお相手をした。