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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第三巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:からすうりの花と蛾、火山の名について、日常身辺の物理的諸問題、量的と質的と統計的と、物理学圏外の物理的現象、ロプ・ノールその他、青衣童女像、カメラをさげて、連句雑俎、ラジオ・モンタージュ、青磁のモンタージュ、読書の今昔、映画の世界像、「手首」の問題、映画雑感(Ⅰ)、生ける人形、映画芸術、音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」、俳諧の本質的概論、夏目漱石先生の追憶、田丸先生の追憶。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 页
たとえば電子波回折の実験がX光線回折の実験の行なわれたころにすでに行なわれたというような事も、それ自身において必ずしも不可能でなかったと思われるから、もしもそうであったとしたら、その後の物理学界の動きはよほど実際とは違ったものになったのではないかと想像されるのである。
それと同様に未来の物理学進歩の経路も必ずしも単義的にただ一筋の予定の道筋を通るであろうとは考えられない。将来なされうべきある二つの画期的な発見のどちらが先に行なわれるかは偶然的な事情によって左右されうるであろう。そういうわけであるから、今から十年後の物理学界を予想する事はいかなる大家にも困難であろう。いついかなる問題が勃興して、現在の第一線の問題に取って代わるかもしれない。現在世界じゅうの学者が争って研究しているような問題が、やがて行き詰まりになるであろうということは当然の事でもあり、また過去の歴史がことごとくこれを証明しているように思われる。そういう場合に、突然にどこからか現われて来て新生面を打開するような対象が、往々それまではほとんど物理学の圏外か、少なくも辺鄙な片すみにあって存在を忘れられていたような場合であることもあえて珍しくはないのである。