轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第三巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:からすうりの花と蛾、火山の名について、日常身辺の物理的諸問題、量的と質的と統計的と、物理学圏外の物理的現象、ロプ・ノールその他、青衣童女像、カメラをさげて、連句雑俎、ラジオ・モンタージュ、青磁のモンタージュ、読書の今昔、映画の世界像、「手首」の問題、映画雑感(Ⅰ)、生ける人形、映画芸術、音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」、俳諧の本質的概論、夏目漱石先生の追憶、田丸先生の追憶。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 页
青衣童女像
木枯らしの夜おそく神保町を歩いていたら、版画と額縁を並べた露店の片すみに立てかけた一枚の彩色石版が目についた。青衣の西洋少女が合掌して上目に聖母像を見守る半身像である。これを見ると同時にある古いなつかしい記憶が一時に火をつけたようによみがえって来た。木枯らしにまたたく街路の彩燈の錦の中にさまざまの幻影が浮かびまた消えるような気がするのであった。
十四五歳のころであったかと思う。そのころ田舎では珍しかった舶来の彩色石版の美しさにひどく心酔したものであった。われわれはそれを「油絵」と呼んでいたが、ほんとうの油絵というものはもちろんまだ見た事がなかったのである。この版画の油絵はたしかに一つの天啓、未知の世界から使者として一人の田舎少年の柴の戸ぼそにおとずれたようなものであったらしい。
当時は町の夜店に「のぞきからくり」がまだ幅をきかせていた時代である。小栗判官、頼光の大江山鬼退治、阿波の鳴戸、三荘太夫の鋸引き、そういったようなものの陰惨にグロテスクな映画がおびえた空想の闇に浮き上がり、しゃがれ声をふりしぼるからくり師の歌がカンテラのすすとともに乱れ合っていたころの話である。