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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第五巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:あひると猿、疑問と空想、映画と生理、映画雑感(Ⅲ)、映画雑感(Ⅳ)、災難雑考、三斜晶系、糸車、詩と官能、自由画稿、小浅間、小爆発二件、地図をながめて、天災と国防、日本人の自然観、破片、俳句の型式とその進化、俳句の精神、物売りの声、B教授の死。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,515 字 · 389 页
た、と考えると一応はもっともらしく聞こえる。この仮説は非常なめんどうさえいとわなければ多くの実例について一々調査した上で当否を確かめ得られるであろうと思われる。
それにしてもまだどうにも説明のできないと思われるのは、自分の場合における次の実例である。
梨の葉に病気がついて黄色い斑紋ができて、その黄色い部分から一面に毛のようなものが簇生することがある。子供の時分からあれを見るとぞうっと総毛立って寒けを催すと同時に両方の耳の下からあごへかけた部分の皮膚がしびれるように感ずるのであった。
それから少しきたない話ではあるが、昔田舎の家には普通に見られた三和土製円筒形の小便壺の内側の壁に尿の塩分が晶出して針状に密生しているのが見られたが、あれを見るときもやはり同様に軽い悪寒と耳の周囲の皮膚のしびれを感ずるのであった。
梨の葉の病の場合はあるいは毛虫などとの類似から来る連想によるかもしれないが、後の針状結晶と毛虫とでは距離があまりに大き過ぎるようである。むしろありまきやうじや蚤などのようなものが群集したところを連想するのかもしれない。そうしたものが自分の皮膚にとりついていると想像すればぞっとするのは当然かもしれない。