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あひるとさる

寺田寅彦随筆集 第五巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第五巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:あひると猿、疑問と空想、映画と生理、映画雑感(Ⅲ)、映画雑感(Ⅳ)、災難雑考、三斜晶系、糸車、詩と官能、自由画稿、小浅間、小爆発二件、地図をながめて、天災と国防、日本人の自然観、破片、俳句の型式とその進化、俳句の精神、物売りの声、B教授の死。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,515 字 · 389 页

青空文庫

に支配された現象のような気がする。ちょっと考えると「美しく見せよう」という動機から化粧が起こったかと思われるが実はそうでないらしい。むしろ天然自然の肉体そのままの姿を人に見せてはいけない、そうすると何かしら不都合なことが起こるという考えがその根底にあるのではないかと疑われる。つまり一種のタブーからだんだんにこうした珍奇な習俗が発達したのではないかという気がするのである。これについてはたぶんその方面の学者たちの学説がいろいろあることと思われる。

いずれにしても、こんなふうに「化ける」ための化粧をするのはおそらく人間以外の動物にはめったにない事であろうと思われる。人間は火を使用する動物なりという定義とほぼ同等に化粧する動物なりという定義もできるかもしれない。そうだとすると、男も鉄漿黒々とつけていた日本の昔は今よりももっと人間のこの特権を充分に発揮していたことになるかもしれない。

十五 視角

はじめて飛行機に乗った経験を話している人が、空中から見た列車の長さがたったこれだけのひものようにしか見えなかったと言ってさし出した両手の間に約一尺ぐらいの長さを画して見せた。