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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第五巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:あひると猿、疑問と空想、映画と生理、映画雑感(Ⅲ)、映画雑感(Ⅳ)、災難雑考、三斜晶系、糸車、詩と官能、自由画稿、小浅間、小爆発二件、地図をながめて、天災と国防、日本人の自然観、破片、俳句の型式とその進化、俳句の精神、物売りの声、B教授の死。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,515 字 · 389 页
こういうふうに、互いに相容れうる範囲内でのあらゆる段階に分化された諸相がこの狭小な国土の中に包括されているということはそれだけでもすでに意味の深いことである。たとえばあの厖大なアフリカ大陸のどの部分にこれだけの気候の多様な分化が認められるであろうかを想像してみるといいと思う。
温帯の特徴は季節の年週期である。熱帯ではわれわれの考えるような季節という概念のほとんど成立しない土地が多い。南洋では年じゅう夏の島がある、インドなどの季節風交代による雨期乾期のごときものも温帯における春夏秋冬の循環とはかなりかけ離れたむしろ「規則正しい長期の天気変化」とでも名づけたいものである。しかし「天気」という言葉もやはり温帯だけで意味をもつ言葉である。いろいろと予測し難い変化をすればこそ「天気」であろう。寒帯でも同様である。そこでは「昼夜」はあるが季節も天気もない。
温帯における季節の交代、天気の変化は人間の知恵を養成する。週期的あるいは非週期的に複雑な変化の相貌を現わす環境に適応するためには人間は不断の注意と多様なくふうを要求されるからである。
そうした温帯の中でも日本はまた他の国と比べていろいろな特異性をもっている。